朝、事務所へ到着すると

いつもの掃除のＭさんに「おはようございます」と声掛け。

すると、そのＭさんが

「おはようございます。あの、すみません。今月いっぱいで私は辞めて

来月から他の方が来ることになりました。

今までありがとうございました。」と挨拶された。

「どうしたんですか？このお仕事辞めるんですか？」と聞くと

「良くしていただいているので、私は続けたいんですが、

長くやっているので他の派遣の方と交代すると会社が言うんですよ。」

と寂しげに答える。

私は何かにつけ、この掃除のＭさんへ声掛けをしていた。

と言うのも、陰ひなたなく一生懸命ビルのお掃除をしてくれる

方だからだ。細やかな心配りでビル内はとても気持ちがいい。

私が廊下のゴミを拾っていると、

飛んできて、「私がやりますから、大丈夫ですよ。」と

汗だくになって優しく微笑む。

休憩しながら召し上がってとお中元代わりに、

お菓子の詰め合わせを差し上げたら、派遣会社に持っていって

皆で食べますと言っていた。とても真面目な方。

この仕事がなくなると困ると言っていた。

ひとしきり考えた後、私は派遣会社へお電話をかけた。

もちろん、Ｍさんを続けて派遣して欲しいと交渉するため。

簡単な仕事も、難しい仕事も手を抜かず、

丁寧に一生懸命やる姿は相手に通じるものだ。

「あなたにこの仕事を任せたい」そう思わせることが出来るのが

プロでないだろうか。

朝から太陽がまぶしいその日、Ｍさんが駆け寄ってきて

「ありがとうございます。まだお世話になります。」と

ペコっと頭を下げた。私もＭさんに学んだことは深い。

心の中でペコっと頭を下げた。