年金資金の運用その1
老後の備えとして、(半強制的に)お給料から毎月、年金保険料を支払っているわけですが、どのような仕組みなのかご存知でしょうか?
日本の年金制度は賦課方式といって現役世代の保険料によって老齢世代の年金給付が行われる方式を採用しています。つまり、私たちが支払っている公的年金の掛金は、今の老齢世代に支給されているわけです。もちろん、私たちがもらえる年金はそのときに働いている次の現役世代が面倒を見ることになります。この年金制度は一人一人が行う「年老いた親への扶養」「親への仕送り」を社会全体の仕組みに広げたものです。しかし実際は将来のために積立方式も併せ持っています。
この積み立てられた資金は市場で運用されています。平成17年度まで、年金資金運用基金において財投債引受や市場運用を行っていましたが,平成18年度からは、専門性の徹底と責任の明確化を目的として、年金積立管理運用独立行政法人によって運用されています。運用の基本方針は、厚生労働大臣から示された中期目標を踏まえ、運用資産の構成割合(ポートフォリオ)などは同法人が決定しています。市場運用における運用資産の構成割合は平成18年度では、国内債権47.8%、国内株式11.1%、外国株式7.4%、外国債券5.7%、短期資産6.1%、そして財政投融資資金(注)が21.9%となっています。さまざまな問題となっている財政投融資資金は平成20年度までにゼロにし、最終的には国内債権の構成割合を67%まで増やす予定です。
150兆円近い資金があるので、外国債券・株式の運用でも約25兆円以上になります。国民から集めた大事なお金ですから慎重に運用してもらいたいですね。
参考:厚生労働省年金局資料
※注:財政投融資とは、財務省が資金を預かり、資金運用部から特殊法人(公庫や公団など)に融資する制度です。特殊法人は資金運用部から自動的に資金の流入を受け、自主的な資金調達を行う必要がなく、市場のチェックを受けることがありません。そのため経営が不透明でした。また、官庁の役人が特殊法人に再就職(天下り)し、高額の退職金を受取っていることも問題となっています。